修正申告と更正の請求とは?申告の誤りを直す手続きと加算税を解説

法人税の基礎
税理士が執筆・監修
条文と実務経験にもとづき、最新の税制改正を反映して解説しています
最終更新日:2026.07.07 / 令和7年4月1日現在の法令等(財務省 加算税制度の概要・国税庁 延滞税の割合ほか)に基づく(参照 2026.07)

「決算書の売上の計上もれが見つかった」「経費を二重に計上していた」──申告書を出した後に誤りに気づくことは、どんな会社にもあり得ます。このとき使う手続きが、税額を少なく申告していた場合の修正申告と、税額を多く申告していた場合の更正の請求です。

大事なのはスピードです。税額が不足していた場合、税務調査の通知が来る前に、調査による更正を予知することなく自主的に修正申告をすれば、過少申告加算税はかかりません。逆に、調査で指摘されてからでは本税に加えてペナルティの負担が重くなります。

この記事では、修正申告と更正の請求の使い分け、加算税・延滞税の仕組み、手続きの流れを解説します。

免責: 本記事は記載時点の法令に基づく一般的な解説です。加算税・延滞税の計算や更正の請求の可否は個別性が高いため、個別の判断は税理士にご相談ください。

申告の誤りは2方向──修正申告と更正の請求

修正申告 更正の請求
使う場面 税額を少なく申告していた(所得の計上もれ・経費の過大計上など) 税額を多く申告していた(経費の計上もれ・二重計上した収益など)
期限 期限の定めなし(税務署長の更正があるまで。早いほど有利 法定申告期限から原則5年以内
提出書類 修正申告書(別表等を正しい数字で作り直し) 更正の請求書+事実を証明する書類
その後 差額の本税+延滞税等を納付 税務署が調査・確認し、認められれば減額更正→還付

ポイントは、更正の請求は「請求すれば自動的に還付される」わけではないことです。税務署が請求内容を調査し、正当と認めた場合に減額の更正が行われます。根拠資料(請求の理由の基礎となる事実を証明する書類)の添付が必要です。

修正申告のやり方と、かかる税金

手続き

修正申告書は、誤りのあった事業年度の申告書(別表一など)を正しい数字で作成し直し、e-Taxまたは書面で提出します。提出と同時に、増えた税額(差額)を納付します。法人税を修正すると、連動して地方法人税・法人住民税・法人事業税の修正(地方は「修正申告」)も必要になるのが通常です。

過少申告加算税──自主的な修正ならかからない

期限内に申告していた場合、修正申告で増えた税額(増差税額)には過少申告加算税がかかります。割合は次のとおりです(財務省「加算税制度の概要」・参照 2026.07)。

修正のタイミング 割合
税務調査の通知前に、調査による更正を予知せず自主的に修正申告 かからない
調査通知以後、調査による更正を予知する前 5%(下記加重部分は10%)
調査による更正の予知後(調査で指摘されてから) 10%(増差税額のうち期限内申告税額と50万円のいずれか多い額を超える部分は15%

つまり、誤りに気づいたら調査を待たずに直すのが最も安く済みます。ただし、「調査通知前」であっても、すでに調査などにより更正されることを予知したうえで修正申告をした場合は、過少申告加算税がかかる可能性があります。なお、期限内に申告していなかった場合は過少申告加算税ではなく無申告加算税(15%・50万円超部分20%・300万円超部分30%〈令和6年1月1日以後に法定申告期限が到来するもの〉/調査通知前の自主的な期限後申告は5%)の体系になります。

延滞税──本来の納期限の翌日から日割りでかかる

増えた税額には、本来の納期限(法定納期限)の翌日から納付日までの延滞税もかかります。割合は「年7.3%」と「延滞税特例基準割合+1%」のいずれか低い方(納期限の翌日から2か月以内)、2か月経過後は「年14.6%」と「特例基準割合+7.3%」のいずれか低い方です。実際の割合は年により変動し、令和4〜7年は年2.4%/8.7%、令和8年は年2.8%/9.1%です(国税庁「延滞税の割合」参照 2026.07)。

なお、期限内申告をしていて、更正を予知しないまま法定申告期限から1年以上たってから修正申告をした場合、延滞税の計算期間から一定期間を除く特例(除算期間)があります(仮装隠蔽による重加算税対象の場合は適用されません)。

仮装・隠蔽があると重加算税──絶対に避けるべきライン

売上を意図的に隠す、架空の経費を計上するなど、事実の仮装・隠蔽にもとづく過少申告と認められると、過少申告加算税に代えて重加算税35%(無申告の場合は40%)が課されます。さらに、過去5年以内に無申告加算税や重加算税を課されたことがある場合などは、10%が加重されます(財務省「加算税制度の概要」参照 2026.07)。

重加算税の対象になると、延滞税の除算期間の特例も使えず、青色申告の承認取消しや融資審査への影響など、金銭以外のダメージも大きくなります。「うっかりミス」と「仮装・隠蔽」はまったく扱いが違う、と理解してください。意図的な所得隠しは重い制裁の対象であり、絶対に行うべきではありません。

更正の請求のやり方──払いすぎは原則5年以内に見直せる

税額を多く申告していた場合は、「更正の請求書」を納税地の所轄税務署長に提出します。

  • 期限:法定申告期限から原則5年以内
  • 添付書類:請求の理由の基礎となる事実を証明する書類(契約書、請求書、帳簿の写しなど)。
  • 流れ:税務署が内容を調査 → 正当と認められれば減額更正が行われ、納めすぎた税金が還付されます(還付加算金という利息相当が付く場合があります)。認められない場合は「更正すべき理由がない旨の通知」が来ます。あくまで税務署の審査を経る手続きで、請求すれば必ず還付されるわけではありません。
  • 判決や後発的な事由により税額が変わった場合など、5年経過後でも一定期間内は請求できる特例があります。

「経費の計上もれに翌期気づいた」ようなケースで、翌期の経費に付け替えるのは正しい処理ではありません。誤りのあった事業年度に戻って更正の請求で直すのが原則です。

税務調査との関係──自主的な見直しが最善の対策

加算税の表からわかるとおり、同じ誤りでもいつ直すかで負担がまったく違います

  1. 調査通知前に、更正を予知せず自主修正:過少申告加算税なし(延滞税のみ)
  2. 調査通知後〜更正予知前:5%・10%
  3. 調査で指摘されてから:10%・15%(仮装隠蔽なら35%)

決算・申告後に誤りの兆候(売上の計上時期のずれ、在庫のもれなど)に気づいたら、放置せず早めに税理士に相談して自主的に見直すことが、結果として最も負担の軽い対応になります。

まとめ

  • 税額が少なすぎた修正申告(期限なし・早いほど有利)、多すぎた更正の請求(法定申告期限から原則5年以内)。
  • 調査通知前に、更正を予知せず自主的にする修正申告なら過少申告加算税はかからない。調査で指摘されると10%・15%。
  • 増差税額には延滞税(令和8年は年2.8%/9.1%)が本来の納期限の翌日から日割りでかかる。
  • 仮装・隠蔽は重加算税35%・40%+一定の場合は10%加重。うっかりミスとは次元の違うペナルティで、絶対に避けるべきライン。
  • 更正の請求は証明書類を添えて提出し、税務署の調査を経て認められれば還付される(必ず還付とは限らない)。
  • 誤りに気づいたら放置せず、早めに税理士へ相談を。

根拠・参考(一次情報)

監修:税夢(税理士・税理士法人勤務)/ 運営者・監修者情報

本記事は、国税庁タックスアンサー・e-Gov法令検索等の一次情報と照合したうえで、税理士の監修のもとに公開しています。

最終更新日:2026.07.07 対象読者:中小企業の経営者・経理担当者

本記事は一般的な解説で、記載時点の制度・税率に基づきます。監修者個人の見解であり、所属する税理士法人の公式見解ではありません。個別の判断は税理士にご相談ください。

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