法人税の中間申告とは?予定申告と仮決算の使い分け・還付をわかりやすく解説

法人税の中間申告、予定申告と仮決算の違いを解説するアイキャッチ画像 法人税の基礎
税理士が執筆・監修
条文と実務経験にもとづき、最新の税制改正を反映して解説しています

会社を設立して2期目のなかば、税務署から「法人税予定申告書」が届いたり、e-Taxのメッセージボックスに予定申告・納付に関するお知らせが入ったりして戸惑った――という経営者は多いはずです。近年はe-Taxで申告する法人などに予定申告分の納付書が送られないケースもあり、お知らせがメッセージボックスに格納されるだけのことがあります。届いていないと思い込んで納付を忘れないよう注意しましょう。

法人税は決算後にまとめて納めるだけではありません。前期の法人税額が一定額を超えると、事業年度の途中で税金の前払い(中間申告・中間納付)が必要になります。

この記事では、中間申告が必要になる条件、予定申告と仮決算による中間申告の違い、そして業績が悪化したときに中間納付額が戻ってくるしくみまで、順を追って解説します。

免責: 本記事は記載時点の法令・通達に基づく一般的な解説です。個別の判断は税理士にご相談ください。

法人税の中間申告とは|対象になる会社

中間申告とは、事業年度が6か月を超える普通法人が、事業年度開始の日以後6か月を経過した日から2か月以内に行う「期中の申告・納付」です(法人税法71条)。3月決算の会社なら、11月末が申告・納付の期限になります。

ただし、すべての会社が対象ではありません。法人税法71条1項ただし書により、前期の法人税額をもとに計算した中間税額(前期実績基準額)が10万円以下の場合などは、中間申告書の提出は不要です。前期が12か月なら、前期の確定法人税額がおおむね20万円以下であれば中間申告は発生しない、というのが実務的な目安です(月数や端数処理により境界付近は前後します)。

また、設立第1期の新設法人には前期がないため、原則として中間申告はありません(合併により設立された場合など例外があります)。「設立2期目に初めて予定申告書が届く」のはこのためです。

予定申告|前期実績をもとに「約半分」を納める

中間申告の原則的な方法が予定申告です。納める税額は次の式で計算します(法人税法71条1項1号)。

前期の確定法人税額 ÷ 前期の月数(1円未満切捨て)× 6

なお、一般には「法人税の予定納税」と呼ばれることもありますが、法人税では主に「中間申告」「予定申告」「中間納付」という表現が使われます。

前期が12か月なら「前期の法人税額のおおむね2分の1」ですが、厳密には単純に2分の1にするのではなく、いったん月数で割ってから6を乗じます。割り算の段階で端数を切り捨てるため、単純な半額と数円〜数百円ずれることがあります(この算出方法は国税庁の質疑応答事例「法人税の中間(予定)税額の算出方法について」で示されています)。

【計算例】前期の確定法人税額が1,000,000円・前期が12か月の場合
・1,000,000円 ÷ 12か月 = 83,333.33…円 → 1円未満を切り捨てて83,333円
・83,333円 × 6 = 499,998円
100円未満を切り捨てて499,900円(=予定申告で納める中間税額)
国税は100円未満の端数を切り捨てて納付します(国税通則法119条)。このため単純に半額とした500,000円ではなく499,900円となり、100円少なくなります。

なお、税務署から届く予定申告書にはあらかじめ税額が印字されていることが多く、実務では申告書を提出しなくても、予定申告があったものとみなされます(みなし申告、法人税法73条)。ただし納付そのものは必要です。納付を忘れると延滞税がかかるため、「申告書は出さなくてもよいが、納税は期限内に」と覚えておきましょう。

仮決算による中間申告|業績悪化時の選択肢

「前期は好業績だったが、今期は明らかに業績が悪い。前期基準の中間納付は資金繰りが苦しい」――そんなときは、事業年度開始から6か月の期間をひとつの事業年度とみなして仮決算を行い、その実績で中間申告する方法を選べます(法人税法72条)。

上半期の利益が小さければ、予定申告より中間納付額を減らせます。上半期が赤字なら中間納付額はゼロになることもあります。ただし、注意点があります。

  • 仮決算による中間税額が、予定申告による税額を超える場合には、仮決算による中間申告はできません(平成23年度改正。多めに納付して確定申告で還付を受ける手法への歯止めで、節税目的でない場合も同じです)。
  • 仮決算でも申告期限は同じ(6か月経過日から2か月以内)で、決算と同程度の手間(仕訳の締め・申告書作成・添付書類の作成)がかかります。
  • 仮決算で中間申告をしても、上半期の赤字を理由にその時点で還付を受けることはできません。あくまで中間納付額を抑える手段です。

「事務負担をかけてでも納付額を抑えたいか」が使い分けの目安です。両者の違いを整理すると次のとおりです。

項目 予定申告 仮決算による中間申告
計算方法 前期実績をもとに計算(前期税額÷前期月数×6) 上半期を仮決算して計算
事務負担 少ない(申告書は提出しなくてもよい) 大きい(決算並みの締め・申告書作成)
向いているケース 前期と同程度の業績が見込まれる 今期の業績が前期より悪化している
納付額 前期法人税額のおおむね半分 上半期の実績次第で少なくなる(赤字ならゼロも)
注意点 納付忘れに注意(みなし申告でも納付は必須) 予定申告額を超える場合はこの方法を選べない

納付期限と納付方法

中間申告分の法人税は、事業年度開始の日以後6か月を経過した日から2か月以内に納付します。

  • 3月決算 → 中間期間は4〜9月、納付期限は11月30日(休日の場合は翌開庁日)
  • 9月決算 → 中間期間は10〜3月、納付期限は5月31日(同上)

納付方法は、ダイレクト納付(e-Tax)、インターネットバンキング、クレジットカード納付、窓口納付などが利用できます(所得税のような振替納税制度は法人税にはありません)。地方税(法人住民税・法人事業税)も、通常は法人税に連動して中間申告・納付が必要になります。なお、法人税法71条1項ただし書により法人税の中間申告を要しない場合は、法人住民税の中間申告義務もありません(事業税など細部の取扱いは自治体により異なる場合があります)。

払いすぎた中間納付額は還付される

中間納付は「前払い」なので、確定申告で計算した年間の法人税額が中間納付額を下回れば、差額は還付されます(法人税法79条)。

たとえば、中間で100万円納付したものの、下半期に業績が悪化して通期の確定税額が40万円になった場合、差額の60万円が確定申告後に還付されます。通期が赤字(法人税ゼロ)なら、中間納付額の全額が戻ります。

さらに、還付には還付加算金(利息に相当するもの)が付く場合があります(法人税法79条3項)。中間納付は損ではなく、あくまで前払いだと理解しておくと資金繰りの見通しが立てやすくなります。

なお、赤字の場合は中間納付額の還付に加えて、青色申告の中小企業者等なら欠損金の繰戻し還付(前期の法人税を取り戻す制度)も検討できます。

消費税にも中間申告がある

中間申告は法人税だけではありません。消費税も、直前の課税期間の確定消費税額(国税分)が48万円を超えると中間申告が必要になり、金額に応じて年1回(48万円超〜400万円以下)・3回(400万円超〜4,800万円以下)・11回(4,800万円超)と回数が増えます(国税庁タックスアンサー No.6609)。

法人税の中間申告の目安(前期の確定法人税額おおむね20万円超=中間税額10万円超)と、消費税の基準(直前課税期間の確定消費税額48万円超)は別々のものです。消費税は法人税より早い段階で中間申告が始まることも多く、納税資金の準備という点ではむしろ消費税の存在感が大きい会社もあります。

まとめ

  • 前期の法人税額がおおむね20万円超(中間税額10万円超)だと、事業年度開始6か月経過日から2か月以内に中間申告・納付が必要。設立1期目は原則なし。
  • 原則は予定申告=前期実績ベースで「前期税額÷前期月数×6」。申告書を出さなくてもみなし申告になるが、納付は必須。
  • 業績悪化時は仮決算による中間申告で納付額を抑えられる。ただし予定申告額を超える場合は不可で、決算並みの手間がかかる。
  • 中間納付額が確定税額を上回れば確定申告で還付される(還付加算金つきの場合あり)。通期赤字なら全額還付。
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根拠・参考(一次情報)

  • 国税庁 質疑応答事例「法人税の中間(予定)税額の算出方法について」(令和7年8月1日現在法令等)
    https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hojin/24/04.htm
  • 国税庁タックスアンサー No.6609「中間申告の方法」(消費税の中間申告)
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6609.htm
  • 根拠法令:法人税法71条(中間申告義務・1項ただし書=10万円以下は不要)・72条(仮決算による中間申告)・73条(みなし申告)・79条(中間納付額の還付)(e-Gov法令検索で確認)
監修:税夢(税理士・税理士法人勤務)/ 運営者・監修者情報
本記事は、国税庁タックスアンサー・e-Gov法令検索等の一次情報と照合したうえで、税理士の監修のもとに公開しています。
最終更新日:2026.07.09 対象読者:中小企業の経営者・経理担当者

本記事は一般的な解説で、記載時点の制度・税率に基づきます。監修者個人の見解であり、所属する税理士法人の公式見解ではありません。個別の判断は税理士にご相談ください。
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