受取配当金の益金不算入とは|株式区分と益金不算入割合をわかりやすく

受取配当金の益金不算入と株式4区分を解説するアイキャッチ画像 法人税の基礎
税理士が執筆・監修
条文と実務経験にもとづき、最新の税制改正を反映して解説しています

会社が他社の株式を持っていて配当金を受け取ると、会計上は「受取配当金」として収益に計上します。しかし法人税の計算では、その配当金の一定割合を課税所得(益金)に含めないという調整があります。これが受取配当等の益金不算入です。

なぜ配当だけこのような扱いをするのか、そして「全額」除けるのか「一部だけ」なのかは、株式の持ち方(持株割合)によって変わります。この記事では、益金不算入の趣旨と、4つの株式区分ごとの益金不算入割合、実務上の注意点を、国税庁の一次情報にもとづいて解説します。

免責: 本記事は記載時点の法令・通達に基づく一般的な解説です。適用要件や割合は個別事情・改正で変わります。個別の判断は税理士にご相談ください。

受取配当金の益金不算入とは

配当は、配当を支払う会社が法人税を課された後の利益から支払われます。それを受け取った会社の側でも配当をそのまま課税所得に含めると、同じ利益に対して法人段階で二重に法人税がかかることになります。

この二重課税を調整するために、受け取った配当の一定割合を益金に算入しない(課税所得から除く)のが受取配当等の益金不算入制度です(法人税法23条)。あくまで法人が受け取る配当に対する制度で、個人が受け取る配当の課税(配当控除など)とは別のしくみです。

対象になるのは、内国法人から受ける剰余金の配当・利益の配当・剰余金の分配などです。なお、保険会社の一部や外国法人からの配当など、対象や割合が異なるものもあります。

株式の4区分と益金不算入割合

益金不算入の割合は、配当を出す会社の株式をどれだけ保有しているかで4つに区分されます。

区分 持株割合の目安 益金不算入割合 負債利子の控除
完全子法人株式等 100% 100% なし
関連法人株式等 3分の1超 100% あり
その他の株式等 5%超〜3分の1以下 50% なし
非支配目的株式等 5%以下 20% なし

支配関係が強い(持株割合が高い)ほど、益金不算入の割合が大きくなります。完全子法人株式等(100%保有の子会社)と関連法人株式等(3分の1超)は原則として配当の全額が益金不算入ですが、関連法人株式等は後述の負債利子控除があるぶん、実際に除ける金額はやや小さくなります。

一方、その他の株式等は50%、上場株式を少しだけ持っているような非支配目的株式等(5%以下)は20%にとどまります。つまり、少額の株式投資による配当は、その多くが課税所得に残ります。

関連法人株式等の「負債利子控除」

関連法人株式等については、益金不算入額を計算するときに負債利子(借入金の利息など)を差し引きます。株式を借入金で取得している場合、その利息は損金になっているため、配当を全額益金不算入にすると利息の損金算入と二重に有利になってしまうことを調整する趣旨です。

控除する負債利子の額は、令和2年度の改正で簡素化され、原則として関連法人株式等に係る配当等の額の4%相当額です。ただし、その事業年度の支払利子等の額の10%相当額がこれを下回る場合には、一定の書類添付により、その10%相当額を基礎として計算する取扱いがあります(根拠:法人税法23条4項、法人税法施行令19条)。

この負債利子控除があるのは関連法人株式等だけで、完全子法人株式等・その他の株式等・非支配目的株式等にはありません。

保有期間・判定の注意点

区分の判定には、単に決算日の持株割合だけでなく、保有していた期間も関係します。

完全子法人株式等・関連法人株式等は、配当の計算期間の初日から末日まで継続して100%または3分の1超を保有していることが必要です。期の途中でM&Aにより取得し、最初の決算で配当を受けたようなケースでは、計算期間を通じて保有していないため関連法人株式等に該当せず、その他の株式等(50%)として扱われることがあります。

これに対し、その他の株式等・非支配目的株式等は、原則として配当の基準日の持株割合で判定します(短期保有株式等を除く)。

また、令和4年4月1日以後に開始する事業年度からは、完全子法人株式等・関連法人株式等の持株割合を100%グループ全体で判定します。グループ会社が分散して保有している場合は合算して判定する点に注意が必要です。

実務の流れ(別表八(一))

受取配当等の益金不算入は、法人税申告書の別表八(一)で計算し、別表四で所得金額から減算します。会計上の受取配当金の金額そのものを動かすのではなく、あくまで申告書上の調整として行います。

なお、配当から源泉徴収された所得税を法人税額から差し引く所得税額控除(別表六(一))は、益金不算入とは別の制度です。配当をめぐっては「益金不算入(所得の計算)」と「所得税額控除(税額の計算)」の2つを別々に処理する点を押さえておきましょう。

なお、令和5年10月1日以後に支払を受けるべき一定の完全子法人株式等・関連法人株式等に係る配当等については、源泉徴収が行われない場合があります。その場合は、当然ながら配当に係る所得税額控除も発生しません。

まとめ

  • 受取配当等の益金不算入は、法人段階の二重課税を調整するため、受け取った配当の一定割合を益金に算入しない制度(法人税法23条)。
  • 益金不算入割合は持株割合で4区分:完全子法人株式等100%、関連法人株式等100%(負債利子控除あり)、その他の株式等50%、非支配目的株式等20%。
  • 関連法人株式等だけは負債利子控除(原則 配当×4%。支払利子等×10%がこれを下回る場合は書類添付でその10%を基礎に計算)がある。
  • 完全子法人・関連法人は計算期間を通じた継続保有、その他・非支配は基準日で判定。令和4年4月以後はグループ全体で持株割合を判定。
  • 申告実務では別表八(一)で計算。配当の源泉所得税を控除する所得税額控除とは別制度。
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根拠・参考(一次情報)

監修:税夢(税理士・税理士法人勤務)/ 運営者・監修者情報
本記事は、国税庁タックスアンサー・e-Gov法令検索等の一次情報と照合したうえで、税理士の監修のもとに公開しています。
最終更新日:<YYYY.MM.DD> 対象読者:中小企業の経営者・経理担当者

本記事は一般的な解説で、記載時点の制度・税率に基づきます。監修者個人の見解であり、所属する税理士法人の公式見解ではありません。個別の判断は税理士にご相談ください。
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