法人の青色申告とは|メリットと承認申請の期限をわかりやすく

法人の青色申告 法人税の基礎
税理士が執筆・監修
条文と実務経験にもとづき、最新の税制改正を反映して解説しています
最終更新日:2026.07.14 / 令和8年度税制改正を反映(2026年7月確認)

会社を設立したり個人事業から法人化したりすると、法人税の確定申告をすることになります。その申告には白色申告青色申告があり、一定の帳簿を備えて申告する青色申告を選ぶと、税制上のさまざまな特典を受けられます。

中小企業にとって青色申告のメリットは大きく、多くの会社が設立当初から青色申告を選んでいます。ただし、青色申告をするにはあらかじめ税務署へ承認申請が必要で、この期限を逃すとその事業年度は青色申告ができません。

この記事では、法人の青色申告の主なメリットと、承認申請の期限・手続き・帳簿保存の注意点を、国税庁の一次情報に基づいて解説します。

免責: 本記事は記載時点の法令・通達に基づく一般的な解説です。適用要件や期限は個別事情・改正で変わります。個別の判断は税理士にご相談ください。

法人の青色申告とは

青色申告とは、一定の帳簿書類を備え付けて日々の取引を記録し、その記録に基づいて申告する制度です。帳簿を備えて正しく申告することと引き換えに、税制上の特典が認められます。

法人が青色申告をするには、あらかじめ税務署長の承認を受ける必要があります(後述の承認申請)。承認を受けた後は、帳簿書類を備え付けて記録・保存し、青色申告書により申告します。

青色申告の主なメリット

法人が青色申告を選ぶ代表的なメリットは次のとおりです。

欠損金の繰越控除(10年)

その事業年度に生じた赤字(欠損金)を、翌事業年度以降に繰り越して所得から控除できます。青色申告書を提出した事業年度に生じた欠損金は、10年間繰り越せます(国税庁タックスアンサー No.5762。平成30年4月1日前に開始した事業年度に生じた欠損金の繰越期間は9年)。欠損金が生じた事業年度に青色申告書を提出し、その後も連続して確定申告書を提出していることが要件です。

なお、控除できる金額には限度があり、中小法人等(資本金1億円以下等)はその事業年度の所得金額の100%まで控除できますが、それ以外の法人は所得金額の50%(平成30年4月1日以後開始事業年度)が限度です。

欠損金の繰戻しによる還付

青色申告書を提出する中小企業者等は、欠損金が生じたとき、その欠損金を前事業年度に繰り戻して、前期に納めた法人税の還付を受けられます(No.5763)。赤字の年に前年の黒字にぶつけて法人税を取り戻す制度で、青色申告が前提です。

なお、中小企業者等以外の法人については、原則として令和10年3月31日までに終了する事業年度に生じた欠損金について、この制度の適用が停止されています(令和8年度税制改正で不適用措置が2年延長)。ただし、清算中に終了する事業年度、解散等の事実が生じた場合、災害損失欠損金などについては例外があります。

少額減価償却資産の特例(令和8年4月以後は40万円未満)

青色申告書を提出する中小企業者等は、令和8年4月1日以後に取得等をする取得価額40万円未満の減価償却資産を事業の用に供し、取得価額相当額を損金経理した場合、その全額をその事業年度の損金に算入できます(令和8年度税制改正で30万円未満から引き上げ)。令和8年3月31日以前に取得等をした資産については、取得価額30万円未満が対象です。

ただし、対象資産の取得価額の合計額は年間300万円が限度です。また、令和8年4月1日以後に取得等をする場合は、常時使用する従業員数が400人を超える法人などは対象外となります。白色申告ではこの特例は使えません。

図1:少額減価償却資産の特例 – 令和8年4月からの見直し
令和8年3月31日以前の取得 令和8年4月1日以後の取得
取得価額の基準 30万円未満 40万円未満
年間の上限額 300万円 300万円(据え置き)
従業員数の要件 常時使用する従業員500人以下 常時使用する従業員400人以下

※青色申告書を提出する中小企業者等が対象。適用期限は令和11年3月31日まで。

各種の特別償却・税額控除

中小企業投資促進税制などの特別償却・税額控除の多くは、青色申告書を提出していることが適用要件になっています。設備投資に関する優遇を受けるうえでも青色申告は前提になります。

承認申請の期限と手続き

青色申告をするには、原則として青色申告によって申告しようとする事業年度開始の日の前日までに、「青色申告の承認申請書」を税務署へ提出します(国税庁 C1-19「青色申告書の承認の申請」)。

新しく設立した普通法人などは特例があり、次のうちいずれか早い日の前日までに申請します。

  • 設立の日以後3か月を経過した日
  • その事業年度終了の日

たとえば、設立第1期から青色申告をしたい場合は、この特例の期限までに申請しておく必要があります。

なお、申請書を提出した後、その事業年度終了の日までに承認または却下の処分がなかったときは、その日に承認があったものとみなされます。その事業年度について中間申告書を提出すべき法人は、事業年度開始の日以後6か月を経過した日がみなし承認の日となります(C1-19)。申請は e-Tax でも提出できます。

図2:青色申告の承認申請 – 期限の考え方
既存の法人
適用したい事業年度
開始の日の前日まで
新設の普通法人
1. 設立後3か月経過日と 2. 事業年度終了の日
いずれか早い日の前日まで
▼ 期限までに承認・却下の処分がないとき
みなし承認
その事業年度終了の日に承認とみなす
(中間申告書を提出すべき法人は開始の日以後6か月を経過した日

※申請は e-Tax でも提出できます。一度承認を受けると、取消し・取りやめがない限り翌年以降も継続します。

よくある質問(承認申請)

Q. 青色申告の申請は毎年必要?
青色申告の承認申請は毎年提出するものではありません。一度承認を受けた後は、承認が取り消された場合や、法人が青色申告の取りやめの届出をした場合を除き、引き続き青色申告を行います。法人が取りやめる場合には、別途「青色申告の取りやめの届出」が必要です。

Q. 申請期限を過ぎた場合は?
申請期限を過ぎた場合、その事業年度から青色申告を適用することは原則としてできません。既存の法人は、翌事業年度開始の日の前日までに申請することで、翌事業年度からの適用を目指します。ただし、設立の日から第1期末までの期間が3か月未満の新設法人については、第2期にも新設法人向けの特例期限(設立の日以後3か月を経過した日と第2期終了の日のいずれか早い日の前日まで)が設けられています。

例: 4月1日設立・3月31日決算の法人が設立第1期から青色申告をする場合、原則として6月30日までに申請します(新設法人の期限は「設立の日以後3か月を経過した日」と「事業年度終了の日」のいずれか早い日の前日)。

帳簿の備付け・保存と青色申告の取消し

青色申告をする法人は、帳簿書類を備え付けて取引を記録し、確定申告書の提出期限の翌日から原則7年間保存する必要があります(国税庁 No.5930)。ただし、青色申告書を提出した事業年度で欠損金額(青色繰越欠損金)が生じた事業年度など一定の場合は、保存期間が10年(平成30年4月1日前に開始した事業年度は9年)になります(No.5930)。

また、帳簿書類の備付け・記録・保存が不十分な場合、税務署長の指示に従わない場合、隠蔽・仮装がある場合などには、青色申告の承認が取り消されることがあります。

無申告や期限後申告については、国税庁の事務運営指針上、原則として2事業年度連続して期限内に申告書を提出していない場合に取消しを行う取扱いとされています。ただし、個別事情によって判断が異なることがあります。

承認が取り消されると、取消しの対象となった事業年度以後は、青色申告を要件とする税制上の特典を受けられなくなります。また、その事業年度に生じた欠損金は、青色申告書を提出した事業年度の欠損金として繰り越すことができません。なお、取消し前の青色申告事業年度に生じた欠損金は、その後も連続して確定申告書を提出しているなどの要件を満たせば、白色申告となった事業年度でも繰越控除できる場合があります。帳簿の整備と期限内申告を確実に行うことが重要です。

まとめ

  • 法人の青色申告は、帳簿を備えて申告することで税制上の特典が受けられる制度。
  • 主なメリットは、欠損金の10年繰越控除、欠損金の繰戻し還付、少額減価償却資産の特例(令和8年4月以後は40万円未満)、各種特別償却・税額控除の適用など。
  • 承認申請は原則「適用したい事業年度開始の日の前日まで」。新設法人は「設立後3か月経過日」と「事業年度終了の日」のいずれか早い日の前日まで。
  • 帳簿は原則7年(青色繰越欠損金が生じた事業年度等は10年)保存。帳簿不備・無申告などで承認が取り消されることがある。

根拠・参考(一次情報)

監修:税夢(税理士・税理士法人勤務)/ 運営者・監修者情報
本記事は、国税庁タックスアンサー・e-Gov法令検索等の一次情報と照合したうえで、税理士の監修のもとに公開しています。
最終更新日:2026.07.14 対象読者:中小企業の経営者・経理担当者

本記事は一般的な解説で、記載時点の制度・税率に基づきます。監修者個人の見解であり、所属する税理士法人の公式見解ではありません。個別の判断は税理士にご相談ください。
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