法人税の計算方法|会計の利益から納税額が決まるまでの4ステップ

法人税の基礎
税理士が執筆・監修
条文と実務経験にもとづき、最新の税制改正を反映して解説しています

法人税は「会計の利益にそのまま税率を掛ける」わけではありません。会計の利益を税法のルールで調整した「課税所得」に税率を掛け、そこから税額控除中間納付を差し引いて、実際に納める税額が決まります。

この記事では、①会計の利益 → ②申告調整して課税所得 → ③税率を掛けて法人税額 → ④税額控除などを引いて納税額、という4ステップで全体像を整理します。流れをつかむと、決算や節税の話も理解しやすくなります。

免責: 本記事は記載時点の法令にもとづく一般的な解説です。税率・特例は改正で変わります。具体的な申告は税理士にご相談ください。

全体像:法人税が決まるまでの4ステップ

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図1:法人税が決まるまでの4ステップ。会計上の利益に申告調整(加算・減算)を加えて課税所得(千円未満切捨て)を求め、税率を掛けて法人税額を出し、税額控除を引いた段階で100円未満を切り捨て、中間納付額を引いて差引確定法人税額を確定する流れ
図1:会計の利益から納付税額までの流れ

会計の帳簿でわかるのは「会計上の利益」までで、そこから先は税法のルールに置き換える作業が入ります。この置き換えを申告書で行うのが、別表四(所得の計算)と別表一(税額の計算)です。順に見ていきます。

ステップ1:会計上の利益を出す

出発点は、決算で計算する会計上の利益です。収益から費用を差し引いた「税引前当期純利益」がこれにあたります。ただしこの利益は会計のルールで計算したものなので、そのまま法人税の対象になるわけではありません。

ステップ2:申告調整で課税所得を出す(別表四)

会計の利益に、税法上のルールで「加算」「減算」の調整を加えて、法人税の対象となる課税所得(所得金額)を計算します。これを申告調整といい、申告書では別表四で行います。

  • 加算:会計では費用でも税務では損金にならないもの(交際費の損金不算入額、役員給与の損金不算入額など=損金不算入)に加え、会計では収益に計上していないが税務では益金になるもの(益金算入)も利益に足し戻す。
  • 減算:会計では収益でも税務では益金にしないもの(受取配当等の益金不算入など)に加え、会計では費用に計上していないが税務では損金になるもの(損金算入)も差し引く。

なお、こうして求めた課税所得は、税率を掛ける前に1,000円未満を切り捨てます(課税標準の端数計算=国税通則法118条1項)。

会計利益と課税所得がずれるのは、このステップがあるためです。加算・減算の4分類は「法人税の加算・減算とは」、益金・損金の考え方は「益金と損金とは」、申告書全体の流れは「法人税申告書の全体像」で詳しく整理しています。

ステップ3:税率を掛けて法人税額を出す(別表一)

課税所得に法人税率を掛けて、法人税額を計算します(別表一)。普通法人の基本税率は原則23.2%です。資本金(出資金)の額が1億円以下などの要件を満たす中小法人は、年800万円以下の所得に軽減税率15%が使えます(令和9年3月31日までに開始する事業年度が対象。所得が年10億円を超える事業年度は17%、適用除外事業者は19%)。税率の詳細は「法人税の税率」で解説しています。

なお、実際の負担は法人税のほかに地方法人税・法人住民税・法人事業税も加わるため、法人税単独の税率とは別に「法人の実効税率」で見ることも大切です。

ステップ4:税額控除・中間納付を引いて納税額を確定

最後に、法人税額から税額控除を差し引き、さらに事業年度の途中で納めた中間納付額を控除して、実際に納める「差引確定法人税額」を確定します。

  • 税額控除:賃上げ促進税制による控除、中小企業向けの設備投資の税額控除、所得税額控除(利子・配当から源泉された所得税)など。要件を満たせば税額を直接減らせるため効果が大きい項目です。
  • 中間納付額:前期の実績等にもとづき期の途中で先払いした分。ここで精算します。

これらを引いた残りが、その事業年度に納付する法人税額です。

百円未満の切り捨てはこの段階です。法人税額から税額控除を引いた「差引所得に対する法人税額」(別表一)で100円未満を切り捨て、そこから中間納付額を差し引いて差引確定法人税額とします(確定金額の端数計算=国税通則法119条1項)。

数値例で見る(すべて「例」)

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図2:数値例。税引前利益1,000万円に加算150万円・減算50万円で課税所得1,100万円、税率を掛けて法人税額189万6,000円、税額控除30万円を引いて差引所得に対する法人税額159万6,000円(100円未満切捨て)、中間納付60万円を引いて差引確定99万6,000円
図2:計算の数値例(すべて例示。実際は会社ごとに異なります)

たとえば、資本金1億円以下の中小法人で次のようなケースを考えます(金額はすべて例です)。

項目 金額
税引前当期純利益 1,000万円
+ 加算(交際費の損金不算入 等) +150万円
− 減算(受取配当の益金不算入 等) −50万円
= 課税所得(1,000円未満切捨て) 1,100万円
法人税額(800万×15%+300万×23.2%) 189万6,000円
− 税額控除(賃上げ促進税制 等) −30万円
= 差引所得に対する法人税額(100円未満切捨て) 159万6,000円
− 中間納付額 −60万円
= 差引確定法人税額 99万6,000円

このように、会計利益(1,000万円)と課税所得(1,100万円)は一致せず、その橋渡しをするのが申告調整です。なお令和8年4月1日以後に開始する事業年度からは、これとは別に防衛特別法人税の判定も加わります。税額は (基準法人税額 − 年500万円)× 4% で、基準法人税額から年500万円の基礎控除額を引いたあとに4%を掛ける、という順序です。

まとめ

  • 法人税は、①会計の利益 → ②申告調整(別表四)で課税所得 → ③税率(別表一)で法人税額 → ④税額控除・中間納付を引いて納税額、の順で決まる。
  • ポイントは、会計の利益と税務の課税所得は別物で、その橋渡しが申告調整だという点。
  • 端数処理は2か所。課税所得は1,000円未満切捨て(通則法118①)、税額控除を引いたあとの税額は100円未満切捨て(通則法119①)。
  • 税額控除は税額を直接減らすので効果が大きい。
  • 具体的な調整や控除は専門的なため、実際の申告は税理士と進めるのが安心。

監修:税夢(税理士・税理士法人勤務)/ 運営者・監修者情報

本記事は、国税庁タックスアンサー・e-Gov法令検索等の一次情報と照合したうえで、税理士の監修のもとに公開しています。

最終更新日:2026.07.28 対象読者:中小企業の経営者・経理担当者

本記事は一般的な解説で、記載時点の制度・税率に基づきます。監修者個人の見解であり、所属する税理士法人の公式見解ではありません。個別の判断は税理士にご相談ください。

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