益金と損金とは|会計の収益・費用との違いをわかりやすく解説

法人税の基礎
税理士が執筆・監修
条文と実務経験にもとづき、最新の税制改正を反映して解説しています
最終更新日:2026.07.07 / 令和7年4月1日現在の法令・国税庁資料に基づく(参照 2026.07)

法人税の話になると必ず出てくるのが「益金(えききん)」と「損金(そんきん)」という言葉です。決算書の「収益」「費用」と似ていますが、同じものではありません。収益なのに益金にならないもの、費用なのに損金にならないものがあり、このズレが法人税額を左右します。

「経費で落ちる・落ちない」という日常会話の正体は、実は「損金になる・ならない」の話です。この記事では、益金・損金とは何か、会計の収益・費用とどう違うのか、そのルールを定めた法人税法22条の骨格を、国税庁の資料にもとづいて解説します。

免責: 本記事は記載時点の法令に基づく一般的な解説です。個別の取扱いは事情により異なります。個別の判断は税理士にご相談ください。

益金・損金とは──法人税の所得計算の出発点

所得金額 = 益金の額 − 損金の額
  • 益金の額……商品・製品などの販売による売上収入、土地・建物の売却収入など、税務上の「収益」にあたるもの
  • 損金の額……売上原価、販売費、災害等による損失など、税務上の「原価・費用・損失」にあたるもの

国税庁のパンフレット「法人税のあらましと申告の手引」でも、法人税の所得金額は「益金の額から損金の額を引いた金額」と説明されています(根拠法令:法人税法21条・22条)。

イメージとしては、会計の「収益 − 費用 = 利益」の税務版が「益金 − 損金 = 所得」です。ただし、両者は完全には一致しません。その理由が、後述する「別段の定め」です。

実際の計算は「当期純利益 + 加算 − 減算」で行う

「益金 − 損金」といっても、実務で益金と損金をゼロから集計し直すわけではありません。会計の収益・費用と税務の益金・損金は大部分が重なっているため、実際の申告では、損益計算書の当期純利益を出発点に、ズレている部分だけを加算・減算(申告調整)して所得金額を計算します。

所得金額 = 当期純利益 + 加算 − 減算

この調整は法人税申告書の別表四で行います。国税庁の別表四の手引にも、損益計算書の当期利益の額を基として申告調整により所得金額を計算すると明記されています。

加算・減算の4つの種類(益金算入・損金不算入・益金不算入・損金算入)と代表例は、法人税の加算・減算とは|申告調整の4つの種類をわかりやすくで詳しく解説しています。

法人税法22条の構造──益金・損金のおおもとのルール

益金・損金のルールは、法人税法22条に定められています。条文の骨格は次のとおりです。

内容
1項 所得金額 = 益金の額 − 損金の額
2項 益金の額……別段の定めがあるものを除き、資産の販売、有償・無償による資産の譲渡や役務の提供、無償による資産の譲受けその他の取引(資本等取引を除く)による収益の額
3項 損金の額……別段の定めがあるものを除き、①売上原価等の原価、②販売費・一般管理費等の費用(償却費を除き、期末までに債務が確定したものに限る)、③損失の額
4項 益金・損金の額は、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準(公正処理基準)に従って計算する
5項 資本等取引の定義……増資・減資など資本金等の額を増減させる取引や、剰余金の配当(利益の分配)などがこれにあたる。資本等取引による損益は、2項・3項により益金・損金から除かれる

ポイントは3つあります。

① 原則は会計に従う(公正処理基準)……税法は収益・費用の計算方法をすべて独自に定めているわけではなく、原則として一般に公正妥当な会計処理に従うとしています。だからこそ「当期純利益+加算−減算」という計算が成り立ちます。

② 「別段の定め」がある部分だけ税務独自のルールになる……次の見出しで解説します。

③ 無償の取引からも収益が生じる……会社が資産をタダで譲っても、税務上は時価で譲渡したものとして収益(益金)が生じ得ます。会計の発想とは異なる、税務に特徴的な考え方です。ただし、完全支配関係のあるグループ法人間の取引などでは、別段の定めにより取扱いが変わることがあります。

なお、収益の計上時期・計上額の細目は法人税法22条の2に定められています(本記事では立ち入りません)。

「別段の定め」──会計と税務がズレる理由

法人税法22条は、益金・損金の範囲を「別段の定めがあるものを除き」と定めています。この「別段の定め」こそが、会計と税務のズレの正体です。

会計は「会社の経営成績を正しく表す」ことが目的ですが、税務は「公平な課税」が目的です。そのため、課税の公平や政策上の理由から、会計の処理をそのまま認めない規定が数多く置かれています。代表例は次のとおりです。

別段の定めの例 会計の扱い 税務の扱い
交際費等 費用 中小法人は定額控除限度額などの範囲内で損金算入できるが、限度額を超える部分などは損金不算入(大法人は取扱いが異なる)
寄附金 費用 限度額を超える部分は損金不算入
役員給与 費用 定期同額給与などの要件を満たさないものは損金不算入
法人税・地方法人税・法人住民税 費用(租税公課) 損金不算入(事業税・特別法人事業税は原則損金算入のため区別が必要)
受取配当等 収益 一定割合が益金不算入(二重課税の調整)
繰越欠損金 (費用ではない) 一定の要件で損金算入

このズレを申告書の別表四で調整するのが、先ほどの「加算・減算」です。

損金経理とは──決算で費用にしないと損金にできないもの

もうひとつ、益金・損金を理解するうえで欠かせないのが「損金経理」という言葉です。損金経理とは、確定した決算において費用または損失として経理することをいいます(法人税法2条25号)。

税務上の損金のなかには、申告書の調整だけでは足りず、決算(帳簿)で費用として処理していることが要件になっているものがあります。代表例は次のとおりです。

  • 減価償却費……損金経理した金額のうち、税務上の償却限度額までが損金
  • 引当金の繰入れ(貸倒引当金など、対象法人に認められる一定の引当金)……損金経理が要件
  • 圧縮記帳(帳簿価額を直接減額する方法による場合)

これらは「決算調整」と呼ばれ、決算で経理していなければ、あとから申告書だけで損金にすることはできません。「経理の仕方で税金が変わる」のはこのためです。決算賞与を損金にする要件は決算賞与を損金にする方法で解説しています。

一方、交際費等の損金不算入のように申告書の別表四だけで調整するもの(申告調整)もあります。決算調整と申告調整の違いは、法人税の加算・減算とはで詳しく整理しています。

まとめ

  • 益金・損金は税務上の収益・費用で、「益金 − 損金 = 所得金額」が法人税計算の土台(法人税法22条)。
  • 実際の申告では、当期純利益に加算・減算(申告調整)を加えて所得金額を計算する(別表四)。
  • 益金・損金は原則として会計(公正処理基準)に従うが、「別段の定め」がある部分(交際費・役員給与・受取配当など)だけ税務独自のルールになる。
  • 無償の取引(タダの譲渡)からも税務上は収益が生じ得る。
  • 減価償却費や引当金などは「損金経理」(決算で費用処理)が損金算入の要件。経理の仕方で税額が変わる。

根拠・参考(一次情報)

  • 国税庁「令和7年版 法人税のあらましと申告の手引」1 法人税の基本的な仕組み(所得金額=益金−損金、当期利益に税務調整を行い所得金額を算出。関係法令 法21・22)
    https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hojin/aramashi2025/pdf/01-02.pdf
  • 国税庁「法人税申告書の記載の手引・別表四(所得の金額の計算に関する明細書)」(当期利益を基に申告調整)
    https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hojin/aramashi2025/pdf/02-06.pdf
  • 根拠法令:法人税法21条・22条(各事業年度の所得の金額の計算)・22条の2(収益の額)・2条25号(損金経理)──e-Gov法令検索で条文を確認(参照 2026.07)
監修:税夢(税理士・税理士法人勤務)/ 運営者・監修者情報
本記事は、国税庁タックスアンサー・e-Gov法令検索等の一次情報と照合したうえで、税理士の監修のもとに公開しています。
最終更新日:2026.07.07 対象読者:中小企業の経営者・経理担当者

本記事は一般的な解説で、記載時点の制度・税率に基づきます。監修者個人の見解であり、所属する税理士法人の公式見解ではありません。個別の判断は税理士にご相談ください。
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