会社設立後の税務届出一覧──提出期限と出し忘れのリスクを解説

法人税の基礎
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条文と実務経験にもとづき、最新の税制改正を反映して解説しています
最終更新日:2026.07.07 / 令和7年4月1日現在の法令等(国税庁タックスアンサーNo.5100・No.2505ほか)に基づく(参照 2026.07)

会社の設立登記が終わってほっと一息──ですが、税務の手続きはここからです。設立後には、税務署・都道府県・市町村へ期限つきの届出をいくつも提出する必要があります。

とくに注意したいのが青色申告の承認申請書です。期限を1日でも過ぎると第1期は白色申告となり、赤字の繰越し(欠損金の繰越控除)や30万円未満の少額減価償却資産の特例といった節税の柱が使えません。設立初年度は赤字になりやすいだけに、出し忘れのダメージは深刻です。

この記事では、設立後に出す書類を「必ず出すもの」「出さないと損するもの」「必要に応じて出すもの」に整理し、提出先と期限を一覧できるようにまとめます(国税庁タックスアンサーNo.5100ほか、令和7年4月1日現在)。

免責: 本記事は記載時点の法令に基づく一般的な解説です。設立日や決算期によって期限は変わるため、個別の判断は税理士にご相談ください。

まずは全体像──提出書類と期限の一覧表

書類 提出先 期限(参照 令和7年4月・No.5100ほか) 重要度
法人設立届出書 税務署 設立(設立登記)の日以後2か月以内 必須
青色申告の承認申請書 税務署 設立の日以後3か月を経過した日第1期終了の日いずれか早い日の前日まで 最重要
給与支払事務所等の開設届出書 税務署 開設から1か月以内 給与を払うなら必須
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 税務署 随時(提出月の翌月末日にみなし承認) 推奨
棚卸資産の評価方法・減価償却資産の償却方法の届出書 税務署 第1期の確定申告書の提出期限まで 任意
事前確定届出給与に関する届出書 税務署 設立の日以後2か月を経過する日まで(設立時に賞与設定する場合) 任意
法人設立届(地方税) 都道府県税事務所・市町村 自治体により異なる(設立後15日〜2か月程度が一例) 必須

以下、重要なものから順に解説します。

法人設立届出書──設立から2か月以内

内国普通法人を設立した場合、設立の日(設立登記の日)以後2か月以内に、「法人設立届出書」に定款等の写しを添付して、納税地の所轄税務署長へ提出します(国税庁No.5100)。e-Taxでも書面でも提出できます。

かつて必要だった登記事項証明書の添付は不要になっており、添付書類は定款等の写しが基本です。なお、マイナポータルの法人設立ワンストップサービスを使うと、税務署・都道府県・市町村への設立関係の届出をまとめてオンライン提出できます(国税庁No.5100関連リンク)。

青色申告の承認申請書──最重要。期限は「3か月」より早く来ることがある

設立第1期から青色申告をするための提出期限は、次のいずれか早い日の前日です(国税庁No.5100)。

  1. 設立の日以後3か月を経過した日
  2. 設立第1期の事業年度終了の日

たとえば4月10日設立・3月決算なら、3か月経過日(7月10日)の前日=7月9日が期限です。一方、設立日から最初の決算日までが3か月未満の短い第1期(例:1月20日設立・3月決算)では、第1期終了の日(3月31日)の前日=3月30日が期限になり、「3か月あるはず」と思っていると間に合いません。なお、この期限が土日祝などの休日等に当たる場合は、休日等明けの日が提出期限となります(国税庁No.5100)。

出し忘れると第1期は白色申告となり、次のような青色申告の特典が使えません。

  • 欠損金の繰越控除(設立初年度の赤字を翌期以降10年間の黒字と相殺)
  • 欠損金の繰戻し還付
  • 30万円未満の少額減価償却資産の特例
  • 特別償却・税額控除(中小企業投資促進税制など)

設立初年度は創業費用で赤字になりやすく、繰越しできない赤字は、将来の黒字と相殺できず、税務上のメリットを失ってしまいます。設立したらまず青色申告の承認申請書、と覚えてください。

給与支払事務所等の開設届出書と源泉所得税の納期の特例

開設届出書──1か月以内

役員報酬や給与を支払う場合(社長1人の会社でも役員報酬を払うなら該当)、給与支払事務所等の開設届出書を開設から1か月以内に税務署へ提出します(国税庁 手続案内A2-7、所得税法230条)。

納期の特例──毎月納付を年2回にまとめる

源泉徴収した所得税は原則として支払月の翌月10日までに納付しますが、給与の支給人員が常時10人未満なら、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を出すことで、1〜6月分を7月10日、7〜12月分を翌年1月20日の年2回にまとめられます(国税庁No.2505)。

申請書はいつでも提出でき、却下の通知がなければ提出した月の翌月末日に承認されたものとみなされ、提出月の翌月に源泉徴収する分から適用されます。適用前の分は原則どおり翌月10日納付なので、設立後早めに出しておくのがおすすめです。

任意で検討する届出──評価方法・償却方法など

必要に応じて、次の届出も検討します(いずれも国税庁No.5100)。

  • 棚卸資産の評価方法の届出書……期限は第1期の確定申告書の提出期限まで。届出をしない場合は法定評価方法(最終仕入原価法による原価法)で評価します。
  • 減価償却資産の償却方法の届出書……期限は同じく第1期の確定申告書の提出期限まで。届出をしない場合、機械装置・器具備品などは法定償却方法(定率法)によります。建物・建物附属設備・構築物はそもそも定額法のみです。
  • 有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出方法の届出書……有価証券を取得した事業年度の確定申告期限まで。
  • 申告期限の延長の特例の申請書……株主総会が決算後3か月開催などの場合。適用を受けたい事業年度終了の日までに提出します。
  • 事前確定届出給与に関する届出書……設立当初から役員賞与を損金にしたい場合、設立の日以後2か月を経過する日までに提出します。事前確定届出給与は、支給時期・支給額を事前に確定して届け出て、届出どおりに支給することが損金算入の要件です。設立時の役員賞与を検討する場合は、株主総会等の決議日や職務執行期間との関係も含めて確認が必要です。

「届出をしなければ法定の方法になる」だけなので必須ではありませんが、業種によっては有利な方法を選べるため、税理士と相談して決めるのがよいでしょう。

地方税の届出──都道府県と市町村にも忘れずに

税務署への届出とは別に、都道府県税事務所市町村(東京23区は都税事務所のみ)へも法人設立の届出が必要です。法人住民税・法人事業税の課税のための手続きで、期限は自治体によって異なります(設立後15日以内〜2か月以内など、自治体ごとに幅があります)。自社の所在自治体のホームページで確認するか、法人設立ワンストップサービスの利用を検討してください。

消費税・インボイスは別途検討を

新設法人は、設立1期目・2期目には基準期間がないため、原則として消費税の免税事業者になります。ただし、設立事業年度開始の日における資本金の額(期首資本金)が1,000万円以上の法人特定新規設立法人(大規模な事業者グループに支配されて設立された法人など)、インボイス(適格請求書発行事業者)の登録をした法人などは免税になりません。また、設立2期目は、特定期間(前事業年度開始の日以後6か月間)の課税売上高・給与等支払額による判定が必要になる場合があります。取引先との関係でインボイス登録をあえて行うかどうかも含め、ここは会社の状況によって有利不利が変わる個別性の高い論点なので、概要だけ押さえて税理士に相談してください(国税庁No.6501・No.6503・No.6629)。

まとめ──設立後の届出チェックリスト

  • 法人設立届出書:設立から2か月以内(定款等の写し添付)。
  • 青色申告の承認申請書設立3か月経過日と第1期末のいずれか早い日の前日まで。最優先。第1期が短い会社はとくに注意。
  • 給与支払事務所等の開設届出書1か月以内納期の特例の申請も早めに。
  • 評価方法・償却方法の届出:第1期の確定申告期限まで。出さなければ法定の方法。
  • 地方税の設立届:都道府県・市町村へ。期限は自治体ごとに確認。
  • 消費税・インボイスは個別検討。迷ったら設立直後に税理士へ相談を。

根拠・参考(一次情報)

監修:税夢(税理士・税理士法人勤務)/ 運営者・監修者情報

本記事は、国税庁タックスアンサー・e-Gov法令検索等の一次情報と照合したうえで、税理士の監修のもとに公開しています。

最終更新日:2026.07.07 対象読者:中小企業の経営者・経理担当者

本記事は一般的な解説で、記載時点の制度・税率に基づきます。監修者個人の見解であり、所属する税理士法人の公式見解ではありません。個別の判断は税理士にご相談ください。

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