法人税申告書の全体像|別表の種類と数字の流れをわかりやすく

法人税申告書の別表と数字の流れを解説するアイキャッチ画像 法人税の基礎
税理士が執筆・監修
条文と実務経験にもとづき、最新の税制改正を反映して解説しています

はじめて法人税申告書を目にすると、「別表一」「別表四」「別表五(一)」……と番号のついた書類が何枚も続き、どれが何をしているのか分からなくなりがちです。

実は、法人税申告書は役割の違う「別表」の集まりで、数字の流れには一本の筋があります。「決算書の当期純利益から出発して、税務上の所得を計算し、税額を出す」——この流れさえつかめば、別表の一枚一枚が地図の上に置けるようになります。

この記事では、法人税申告書の全体像を、多くの会社で中心になる5枚必要なときだけ付ける別表に分けて、国税庁の手引にもとづき解説します。

免責: 本記事は記載時点の法令・様式に基づく一般的な解説です。別表の様式・番号は年度により改定されます。個別の判断は税理士にご相談ください。

法人税申告書とは──「別表」の集まりでできている

法人は、事業年度が終わったら決算を行い、株主総会等の承認を受けた決算(確定決算)にもとづいて確定申告書を作成し、原則として事業年度終了の日の翌日から2か月以内に納税地の所轄税務署長へ提出します(法人税法74条)。赤字で納める税金がない場合や休業中でも、提出は必要です。

この確定申告書の本体が、別表と呼ばれる様式群です。別表には番号がふられており、会社の状況に応じて必要なものを組み合わせて提出します。申告期限や延長の特例については、法人税の確定申告期限と延長の特例で詳しく解説しています。

多くの会社で中心になる5枚──別表一・二・四・五(一)・五(二)

ほとんどの会社が毎期提出する中心的な別表は、次の5枚です。

別表 正式名称(要旨) 役割
別表一 各事業年度の所得に係る申告書 申告書の「表紙」。所得金額に税率を掛けて法人税額を計算する。地方法人税もここで併せて計算
別表二 同族会社等の判定に関する明細書 株主構成から同族会社・特定同族会社かどうかを判定する
別表四 所得の金額の計算に関する明細書 損益計算書の当期純利益に加算・減算(申告調整)をして所得金額を計算する。「税務上の損益計算書」
別表五(一) 利益積立金額及び資本金等の額の計算に関する明細書 税務上の純資産(利益積立金額・資本金等の額)を管理する。「税務上の貸借対照表」
別表五(二) 租税公課の納付状況等に関する明細書 法人税・住民税・事業税など税金の納付状況を管理する

別表四の加算・減算の仕組みは「法人税の加算・減算とは」で、別表五(一)と利益積立金額は利益積立金額と別表五(一)で、それぞれ詳しく解説しています。

必要なときだけ付ける別表──制度を使う会社が添付する

中心5枚のほかに、特定の制度を使う場合にだけ添付する別表があります。中小企業でよく登場するものを挙げます。

別表 使う場面
別表三(一) 特定同族会社の留保金課税の対象になる場合(資本金1億円以下は原則対象外)
別表六(一) 預金利息や配当から源泉徴収された所得税額の控除を受ける場合
別表七(一) 繰越欠損金の控除を受ける場合・欠損金が生じた場合
別表八(一) 受取配当等の益金不算入を受ける場合
別表十一(一)・(一の二) 貸倒引当金を計上した場合
別表十四(二) 寄附金を支出した場合
別表十五 交際費等を支出した場合
別表十六(一)・(二)ほか 減価償却費を計上した場合(定額法は(一)、定率法は(二)、少額・一括償却は(七)(八)など)

このほか、租税特別措置(特別償却・税額控除など)を使う場合は、その制度ごとの別表を添付します。

数字の流れ──当期純利益から法人税額まで

別表どうしは、次のように数字がつながっています。1枚ずつ「入口の数字」と「出口の数字」を追うと、全体が一本の線でつながります。

出発点

決算書(損益計算書)の当期純利益
その数字をそのまま持ち込む
STEP 1 / 別表四(税務上のP/L)

当期純利益 + 加算 − 減算 = 所得金額
所得金額を持ち込む
調整のうち「留保」だけ →
別表五(一)(税務上のB/S)

利益積立金額を更新 → 翌期へ繰り越す
STEP 2 / 別表一(税額の計算書)

所得金額 × 税率 − 税額控除 = 法人税額

読み方は次の3ステップです。

  1. 別表四で、決算書の当期純利益に申告調整(加算・減算)を行い、所得金額を出す。
  2. その所得金額を別表一へ持ち込み、税率を掛けて税額控除を差し引き、法人税額を確定する。
  3. 別表四の調整のうち「留保」に区分されたものは、別表五(一)の利益積立金額へ移り、翌期以降の申告に引き継がれる(この区分は留保と社外流出で解説しています)。

つまり、別表四が「フロー(当期の所得)」、別表五(一)が「ストック(積み上がった税務上の純資産)」、別表一が「税額の計算書」という関係です。

申告書に添付する書類

法人税の確定申告書には、別表のほかに次の書類を添付します(法人税法74条3項・法人税法施行規則35条)。

  • 貸借対照表・損益計算書
  • 株主資本等変動計算書(または社員資本等変動計算書・損益金の処分表)
  • 勘定科目内訳明細書(貸借対照表・損益計算書の科目の内訳)
  • 事業概況書(法人事業概況説明書。事業内容や従業員数などの概況。完全支配関係がある法人がある場合はその系統図を含む)
  • 適用額明細書……法人税関係の租税特別措置(税額や所得の金額を減らす規定等)の適用を受ける場合に添付
  • 組織再編成を行った場合は、合併契約書等の写しなど

なお、法人税申告書とあわせて、都道府県・市町村へ法人住民税・法人事業税の申告書(地方税)も提出します。また、令和8年4月1日以後に開始する事業年度からは、防衛特別法人税の申告が必要になります。防衛特別法人税の申告書は法人税・地方法人税の申告書と一体の様式とされ、別表一次葉一などに防衛特別法人税に関する記載欄が追加されています。防衛特別法人税額が0円となる場合でも申告は必要とされているため、該当事業年度では様式の記載漏れに注意してください(詳細は国税庁の最新情報をご確認ください)。

まとめ

  • 法人税申告書は「別表」の集まり。中心は別表一(税額)・二(同族判定)・四(所得計算)・五(一)(税務上の純資産)・五(二)(税金の納付状況)の5枚。
  • 繰越欠損金(七(一))、受取配当(八(一))、交際費(十五)、減価償却(十六)などは、その制度を使う会社だけが添付する。
  • 数字の流れは「当期純利益 →(別表四で申告調整)→ 所得金額 →(別表一で税率・税額控除)→ 法人税額」。留保項目は別表五(一)へ連動する。
  • 申告書には決算書・勘定科目内訳明細書・事業概況書などを添付し、租税特別措置を使うなら適用額明細書も必要。
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根拠・参考(一次情報)

監修:税夢(税理士・税理士法人勤務)/ 運営者・監修者情報
本記事は、国税庁タックスアンサー・e-Gov法令検索等の一次情報と照合したうえで、税理士の監修のもとに公開しています。
最終更新日:2026.07.09 対象読者:中小企業の経営者・経理担当者

本記事は一般的な解説で、記載時点の制度・税率に基づきます。監修者個人の見解であり、所属する税理士法人の公式見解ではありません。個別の判断は税理士にご相談ください。
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