防衛費の財源確保のため、法人税に上乗せして課される「防衛特別法人税」が、2026年(令和8年)4月1日以後に開始する事業年度から始まります。多くの中小企業には実質的な負担が生じない設計ですが、利益が大きい会社は対象になります。この記事では、仕組みと「所得いくらからかかるのか」の目安を整理します。
防衛特別法人税の仕組み
防衛特別法人税は、法人税額をもとに計算する付加税です。計算式は次のとおりです。
防衛特別法人税額 =(基準法人税額 − 基礎控除年500万円)× 4%
ポイントは、課税のラインが「所得(利益)」ではなく「法人税額」で引かれていることです。基準法人税額が年500万円以下であれば税額はゼロになるため、多くの中小企業には負担が生じません。たとえば基準法人税額が600万円の会社なら、(600万円 − 500万円)× 4% = 4万円が上乗せされます。なお基準法人税額は、外国税額控除などの税額控除を差し引く前の金額で判定します。
所得でいうと、いくらからかかるのか
「うちは対象になるのか」を判断する目安として、法人税額500万円のラインを所得に換算してみます。あくまで概算ですが、次のイメージです。
中小法人で年800万円以下の所得に軽減税率(15%)が使える場合、所得がおおよそ2,400万円を超えるあたりで法人税額が500万円を超え、対象になり始めます。軽減税率を使わず一律23.2%で計算する場合は、所得がおおよそ2,150万円超が目安です。ざっくり言えば、所得が2,000万円台後半を超えてくると効いてくる制度、とイメージしておくとよいでしょう。
ただし、これは法人税率から逆算した概算です。正式な判定はあくまで「基準法人税額500万円」で行われる点にご注意ください。
まとめ
防衛特別法人税は、2026年4月以後開始事業年度から、基準法人税額が年500万円を超える法人に、超えた部分の4%を上乗せする制度です。多くの中小企業は基礎控除の範囲内で負担ゼロですが、所得が2,000万円台後半を超えるような利益の大きい会社は対象になります。新しい制度で運用の細部は今後固まる部分もあるため、自社が対象になりそうな場合は、早めに税理士へ相談しておくと安心です。法人税の全体像は「法人税の税率と実効税率」もあわせてご覧ください。
主な参考資料
- 国税庁「防衛特別法人税に関する納付手続等について」
https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/bouei_noufu/index.htm - 国税庁 手続案内 C1-1「法人税、地方法人税及び防衛特別法人税の申告(法人税申告書別表等)」
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/shinkoku/01.htm - e-Gov法令検索「我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法」(防衛特別法人税の根拠法)
https://laws.e-gov.go.jp/law/505AC0000000069
監修:税夢(税理士・税理士法人勤務)/ 運営者・監修者情報
本記事は、国税庁タックスアンサー・e-Gov法令検索等の一次情報と照合したうえで、税理士の監修のもとに公開しています。
最終更新日:2026.07.04 対象読者:中小企業の経営者・経理担当者
本記事は一般的な解説で、記載時点の制度・税率に基づきます。監修者個人の見解であり、所属する税理士法人の公式見解ではありません。個別の判断は税理士にご相談ください。

