寄附金は全額損金にならない?損金算入限度額の計算を解説

寄附金は全額損金になるか(損金算入限度額の解説記事のアイキャッチ) 経費・損金
税理士が執筆・監修
条文と実務経験にもとづき、最新の税制改正を反映して解説しています

「地元のお祭りに協賛金を出した」「災害の義援金を会社から送った」「取引先でもない団体に寄付した」──こうした支出は、会計上は費用でも、法人税では寄附金として損金にできる金額に上限(損金算入限度額)が設けられています。

なぜ全額損金にならないのでしょうか。寄附金は対価を伴わない利益の移転という性質があり、無制限に損金算入を認めると、寄附という形で課税所得を任意に減らせてしまうためです。寄附金かどうかは、名称ではなく個々の実態から判定されます。一方で、国や地方公共団体への寄附金のように全額損金になるものもあり、寄附先によって扱いが大きく変わります。

この記事では、税務上の寄附金の範囲、寄附先による区分、損金算入限度額の計算方法を、計算例つきで解説します。

免責: 本記事は記載時点の法令に基づく一般的な解説です。寄附金かどうかの判定や限度額の計算は個別性が高いため、個別の判断は税理士にご相談ください。

税務上の「寄附金」は広い──協賛金・低額譲渡も含まれ得る

法人税法上の寄附金は、寄附金・拠出金・見舞金などの名義を問わず、法人がした金銭その他の資産または経済的利益の贈与・無償の供与をいいます(法人税法37条、国税庁No.5281)。

ポイントは次のとおりです。

  • 名目は関係ない……「協賛金」「賛助金」の名前でも、事業と直接関係のない相手への実質的な贈与であれば寄附金です。社会事業団体や政治団体への拠出、神社の祭礼への寄贈金などが例に挙げられています。
  • 資産の低額譲渡・無償譲渡も対象になり得る……資産を時価より低い価額で譲渡した場合、その差額のうち実質的に贈与したと認められる金額は寄附金に含まれます。
  • 除かれるもの……広告宣伝費・見本品費、交際費・接待費・福利厚生費に該当するものは寄附金から除かれます。寄附金、交際費、広告宣伝費などのいずれに該当するかを、支出の実態から確認します(国税庁No.5262「交際費等と寄附金との区分」)。
  • 役員が個人として負担すべきもの……役員個人の寄附を会社が肩代わりした場合は、寄附金ではなくその役員への給与になります。
  • 支出した時点で判定……寄附金は実際に支払った事業年度の寄附金となります。未払計上したものや、手形払いでまだ決済されていないものは含まれません。一方、仮払金として経理していても、実際に支払っていれば寄附金に含まれます。
その支出が税務上の寄附金に当たるかの判定フロー図
図1:その支出は税務上の「寄附金」?(対価性・役員個人負担・支出時主義で判定)

寄附先による区分──全額損金になるものから全額損金不算入まで

寄附金は、寄附先によって次のように扱いが分かれます(国税庁No.5281・No.5283)。

区分 損金算入の扱い
① 国・地方公共団体への寄附金 原則として全額損金算入
② 指定寄附金(財務大臣が指定した公益目的の寄附金。赤い羽根共同募金や一定の大規模災害の義援金など) 原則として全額損金算入
③ 特定公益増進法人への寄附金(公益社団・財団法人、一定の学校法人、社会福祉法人、日本赤十字社など)・認定NPO法人等への寄附金 特別損金算入限度額まで別枠で損金算入(超えた部分は④の一般の限度額へ)
④ 一般の寄附金(①〜③・⑤以外) 一般の損金算入限度額まで損金算入
⑤ 法人による完全支配関係がある他の内国法人への寄附金・国外関連者(海外の親子会社等)への寄附金 原則として全額損金不算入
寄附先による寄附金の区分マップ(全額損金〜全額不算入)
図2:寄附先の区分マップ──全額損金(①②)/限度額まで(③④)/全額不算入(⑤)

災害義援金は寄附先・スキームによって①②に該当し全額損金になることが多い一方、業績の悪い子会社への無利息貸付けや債権放棄は、その利益供与額が原則として寄附金になり得ます。ただし、倒産を防止するためにやむを得ず行われ、合理的な再建計画に基づくなど相当な理由がある場合には、寄附金に該当しないことがあります。寄附金とされ、かつ法人による完全支配関係がある内国法人への寄附金に該当すれば、全額損金不算入となる場合があります。

一般の寄附金の損金算入限度額──算式と計算例

算式(資本または出資を有する普通法人の場合)

一般の寄附金の損金算入限度額は、次の算式で計算します(国税庁No.5283参考欄、令和7年4月1日現在)。

〔(期末の資本金の額+資本準備金の額の合計額または出資金の額)× 当期の月数/12 × 2.5/1,000 + 所得の金額 × 2.5/100〕× 1/4
  • 「所得の金額」は、寄附金を損金算入する前の所得金額をベースにします(別表十四(二)で計算)。厳密には、会計上の利益をそのまま使うのではなく、別表四の所得金額仮計などを基礎として、別表十四(二)で寄附金支出前所得金額を計算します。
  • 資本基準は、期末の「資本金の額+資本準備金の額」(または出資金の額)です。
なお、この算式は資本または出資を有する普通法人等のものです。 資本・出資を有しない法人や非営利型一般社団法人、一定のNPO法人などは、一般の寄附金について所得金額×1.25/100など異なる算式を使用します(特定公益増進法人等への寄附金についても、これらの法人では所得金額×6.25/100となります)。

計算例(作例)

前提:期末資本金1,000万円(資本準備金0円)、寄附金支出前の所得1,000万円、事業年度12か月、一般の寄附金50万円を支出。

  • 資本基準額:1,000万円 × 12/12 × 2.5/1,000 = 2万5,000円
  • 所得基準額:1,000万円 × 2.5/100 = 25万円
  • 損金算入限度額:(2万5,000円 + 25万円)× 1/4 = 6万8,750円

支出した寄附金50万円のうち、損金になるのは6万8,750円だけで、残りの43万1,250円は損金不算入(別表四で加算)となります。この例からわかるとおり、一般の寄附金の限度額は意外と小さく、「寄附はしたが大部分は損金にならなかった」というケースは珍しくありません。

一般の寄附金の損金算入限度額の計算過程(作例)
図3:作例の計算過程──支出50万円のうち損金は6万8,750円、43万1,250円は損金不算入

特定公益増進法人への寄附金の特別損金算入限度額

特定公益増進法人等への寄附金は、一般の寄附金とは別枠で、次の特別損金算入限度額まで損金算入できます(国税庁No.5283)。

〔(期末の資本金の額+資本準備金の額の合計額または出資金の額)× 当期の月数/12 × 3.75/1,000 + 所得の金額 × 6.25/100〕× 1/2

上記の前提(資本金1,000万円・所得1,000万円)なら、(3万7,500円+62万5,000円)×1/2=33万1,250円が別枠の限度額です。特別限度額を超えた部分は一般の寄附金に含め、ほかの一般寄附金と合わせて、一般の損金算入限度額の範囲内で損金算入されます。

手続──別表十四(二)の添付と書類の保存

寄附金の損金算入には、確定申告書に「寄附金の損金算入に関する明細書」(別表十四(二))を添付します。とくに特定公益増進法人への寄附金について別枠の限度額の適用を受けるには、その寄附金が主たる目的である業務に関連するものである旨を特定公益増進法人が証する書類などの保存が必要です(国税庁No.5283)。

指定寄附金や認定NPO法人等への寄附でも、領収書や証明書類の保存が前提になります。寄附をしたら、領収書に加えて寄附先の区分がわかる書類を残しておきましょう。

交際費との区分・企業版ふるさと納税との違い

  • 交際費との区分……事業に関係のある相手への接待・供応・贈答の費用は寄附金ではなく交際費等です(国税庁No.5262)。どちらも損金算入に制限がありますが、中小法人の交際費には年800万円の定額控除限度額があるなど、計算方法がまったく異なります。取引先かどうかだけで決まるものではなく、支出の目的、対価性の有無、相手との関係、支出の態様などを総合して判定します。例えば、協賛金でも広告掲載などの明確な対価があれば広告宣伝費となる一方、実質的な金銭の贈与であれば寄附金となることがあります。
  • 企業版ふるさと納税(地方創生応援税制)……地方公共団体の認定地域再生計画に係る寄附について、地方公共団体への寄附金として全額が損金算入されることに加え、一定の法人住民税・法人事業税・法人税の税額控除を受けられる制度です。個人のふるさと納税とは制度や適用要件が異なるため、混同しないよう注意してください。

まとめ

  • 税務上の寄附金は名義を問わず、金銭・資産・経済的利益の贈与または無償供与を広く含む。事業に直接関係のない者への金銭贈与は、原則として寄附金となる(協賛金・低額譲渡も対象になり得る)。
  • 国等への寄附金・指定寄附金は原則として全額損金。特定公益増進法人・認定NPO法人等への寄附金は別枠の特別限度額まで損金。
  • 資本または出資を有する普通法人等の一般の寄附金は〔(資本金+資本準備金)×2.5/1,000×月数/12+所得×2.5/100〕×1/4 が上限で、限度額は意外と小さい(資本・出資を有しない法人等は異なる算式)。
  • 法人による完全支配関係がある他の内国法人への寄附金・国外関連者への寄附金は原則として全額損金不算入。子会社支援の債権放棄等も寄附金とされるリスクあり。
  • 損金算入には別表十四(二)の添付が必要。特定公益増進法人等への寄附金では、寄附先や対象業務を証する書類なども保存する。
  • 寄附か交際費か、どの区分の寄附金かで税負担が大きく変わるため、大きな寄附の前に税理士へ相談を。

根拠・参考(一次情報)

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監修:税夢(税理士・税理士法人勤務)/ 運営者・監修者情報

本記事は、国税庁タックスアンサー・e-Gov法令検索等の一次情報と照合したうえで、税理士の監修のもとに公開しています。

最終更新日:2026.07.12 対象読者:中小企業の経営者・経理担当者

本記事は一般的な解説で、記載時点の制度・税率に基づきます。監修者個人の見解であり、所属する税理士法人の公式見解ではありません。個別の判断は税理士にご相談ください。

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